ダイレクトアジェンダ2019で弊社の百々がプレゼンし、
オイシックスの西井様に絶賛いただきました。
百々のプレゼンのどの部分を、どういった観点で評価いただけたのか。
西井様の"デジタルマーケティング思想"に絡めて、じっくりとお話いただけました……
こんにちはこんばんは。
a-worksメディアライターの 谷口けい と申します。
冒頭の通り、今年1月に行われた「ダイレクトアジェンダ2019」の弊社百々のプレゼンを、デジタルマーケティング業界で知らない人はいないオイシックスの西井様に高くご評価いただけました。
「百々のプレゼンをなぜ評価いただけたのか」を伺う中で、西井様の「デジタルマーケティング思想」もたっぷりとお聞きできました。
西井様に絶賛いただいた百々のプレゼン内容は、すでに別で記事を上げておりますので、ぜひそちらと合わせてお読みください。(本記事は、こちらの内容が前提となっております。)
→DA2019登壇!成果報酬型広告と2万時間向き合って気づいた、「事業を伸ばす上で1番大事なこと」
本記事の登場人物はこちらのお三方。
中央にいらっしゃるのが西井様。
左が弊社社長の野山。右がダイレクトアジェンダ2019で登壇した百々でございます。
強そうな方々に混じって、4月新卒入社で”a-works唯一のライター”というラッキーポジションの私(けい)も同席させていただきましたので、責任を持ってレポートいたします。
本記事はかなり情報密度が高いため、ところどころに「けいのメモ」という形で小まとめを設けております。少しでも読み進めやすくなっていれば幸いです。
デジタルマーケティングは変様する
西井様の「良いオフィスですね」というお褒めのお言葉で始まりました。
そこから10分ほどオイシックスの現状や課題についてのお話が続き、話題は「従来/現代のマーケティング」という内容に。
従来のマーケティング・現代のマーケティング
西井様
「従来のマーケティングの考え方って、まずそこに市場があるかどうかを調査して、市場があればそこに対して必要なものを提供していくっていう考え方だと思うんですよね。
でも、市場ってもともとあるものじゃないと思ってて。
たとえば実際、市場の人に『普段買ってる野菜、心配ですか?』って聞いても、多分ほとんどの日本人は『いや、別にスーパーの野菜美味しいじゃん』って返ってくる。」
野山
「うんうん。」
西井様
「オイシックスを例にすると、オイシックスを今までの価値観で捉えてる方からは、『オイシックスの野菜って届くまで3日もかかるし、遅い。』って言われるんですね。
でもうちって、お客さんから注文を受けてから、生産者さんに収穫をお願いするので、注文から届くまでで見ると時間がかかるけど、収穫してからお客さんに届くまでは早いんですよね。
そうすると、いつも食べてるレタスとかがすごい美味しいと。で、そういう食事が普通になると、普段食べるサラダがすごく楽しみになるんですよね。
でもそういうことって多分、実際にやってみないとわからない。たとえやっても、今までの置き換えの考え方では多分そこまでの価値を感じることはできないし。
だからこそ、新しい価値観っていうのをお客さんにコミュニケーションしないといけないし、当然、そこに伴う価値も作っていかなきゃいけない。西井様
「今オイシックスで1番売れてるのって、『ミールキット』なんですよ。野菜がカットしてあって、調味料もジャストサイズで入ってて。だから、食材が余らないし、捨てる必要もないし、何より新鮮なんですよね。
買い物って楽しみでもあるけど、料理を考える、買い物に行く、実際に作るっていうのをずっとやってると、苦痛になるんですよね。同じものばっかりになっちゃたりするし。
でもミールキットを使うと、新しい料理が作れるし、レシピを考える必要もないし、料理は作りやすくなるしで、苦痛から開放される。」
野山
「暮らしが変わってますね!めっちゃ美しい……」
「人間は自分が何を欲しているのかわかっていない」からこそ、消費者にいかに使ってもらって価値に気づいてもらうかが重要。
消費者がその価値に気づいたとき、初めてそこに「市場」が生まれるんですね。
百々のプレゼンは、具体的にどういう点で評価いただけたのか
野山
「ここまでのお話を聞いて、すごく素敵な商売だなと思いました。
そういった、”ブランドとしての成し遂げたいこと”というか、ミッション・想い・コンセプトみたいなことを発信していくことがすごく大事だよね、っていう文脈で今回の百々のプレゼンを評価いただけたんですか?」
西井様
「うーん、そういう観点じゃないかもしれないですね。
僕は今の時代、会社のメンバー全員がデジタルマーケティングをやらなきゃいけないと思っています。たとえば今は人事もマーケティングの素養がいると思ってて。転職したいと思ってネットの情報を見ない人っていないですよね。株価もIRもすべてネットに出てて、そこで売買をする。
それを考えると、人事や財務ってすごくデジタルマーケティングの能力がいるなって思ったっていうのが前提としてあって、『教育についてどうすればいいかな』ってずっと考えてたんです。
そして、あのプレゼンを見た時に、すごく本質的なことをやってるなって思いました。
失礼かもしれないけど、“派手じゃない”。笑」
百々
「たしかに笑笑」
西井様
「たとえばLPを作るときの考え方にしても、『実際検索した時に出てくる売れてるアフィサイトのコンテンツを見て、LPを作る』みたいな。 」
プロダクト・アウト思想の会社が多い中、a-worksはマーケット・インの思想だった。
西井様
「ほとんどの会社は、”プロダクト・アウト”的な思想なんですよね。
『この商品はこういう成分が入ってるから、こういうコピーじゃないと伝わらない!』『生産者がこんなに頑張って作りました!』みたいな。
そういう会社が圧倒的多数の中で、a-worksはそうじゃなくて、ユーザーが作ったコンテンツの中で売れてるものを活かして売上を伸ばしたという話が、実は僕がここまでで言ってきたすべてを捉えていて。
いわゆる”マーケット・イン”というか。”検索行動”していて、ユーザーが作ったコンテンツ(=CtoCメディア)があって、それを企業が活用しているって、実はめちゃくちゃ本質的なことなんですよね。」
百々
「ありがとうございます。」
西井様
「オイシックスって、もちろん生産者さんへのリスペクトはすごくあるんですよ。でもその中でも、『うちが作った野菜、どや!』じゃなくて、『お客さんに選ばれてる生産者さんがえらい』っていう考え方なんですね。
どんなに苦労して頑張って作っても、それがお客さんのためになっていなかったらただの自己満足なわけですから。」
百々
「おっしゃるとおりです。」
西井様
「僕らがどんなにいいと言おうが、お客さんがいいって言ってくれる方が圧倒的に信頼になるわけですよね。だから僕らも、お客さんから支持されている生産者さんを評価しています。
で、a-worksのLPの作り方はまさにこれと一緒だなと。1番アフィで売れてるサイトの書き方に合わせる、みたいなところとか。」
百々
「やっぱり、1番売れてるサイトが1番消費者に近いと思ってるんですよ。なのでそこから始まって、さらにそこを補完するLPがあれば、それが1番理解の浸透につながると思ってるんで。あ、クリエイティブの話ですね。笑」
西井様
「でもそれだけじゃなくて。笑
僕はもう1つ、『デジタルマーケティングの勉強したいです!』っていう人には『アフィリエイトでモノ売ってこい』って言うんですよ。アフィリエイトにはマーケティングのすべてが入ってると思ってるんで。
でもほとんどの会社だと、基本的な部分はすっ飛ばしていきなり、『広告費はこれくらい』『ここはCPAこれで獲得件数いくらで回せ!』みたいな。
先日のプレゼンにあったa-worksのやり方は、基本的な部分から全て丁寧に含められていると思ったので、あのプレゼンはオイシックスのみんなにも聞かせたいと思ったんですよね。
ああいう発表って他になかったんで1位取るかなと思ったんですけど、全然でしたね。笑笑」
百々&野山
「笑笑」
西井様
「でも、逆に面白かったんですよね。『あ、受け入れられないんだ』『みんな多分わかんないんだ』と思って。僕の中ではぶっちゃけダントツNo,1でしたよ。」
百々
「おぉ……!ありがとうございます!」
西井様
「”なんで売れるのか”っていうプロセスがしっかりしてた。
『LP作ってAIで最適化してABテストしたらCVRがこんだけ上がりました』とか、そういうレベルの話じゃなくて。
マーケティングってこういうことだよなって思いました。」
野山
「褒めていただいてるポイントがめちゃくちゃ嬉しいね。」
消費者に最も近いであろう”よく売れているCtoCメディア”を丁寧に活用する
というa-worksの方法論が非常に本質的であると評価いただきました。
「企業本位」ではなく、「消費者本位」であることが大事なんですね。
ブランドとしての価値を見失わないこと
西井様
「『オイシックスの価値ってなんだろう』って考える時に僕がいつもやってるのが、お客さんのコメントとかソーシャルメディアとかを見ることで、こんなふうに役立ってるんだ、みたいな気付きがたくさんあって。
僕らじゃなかなか気づけないことをお客さんに教えてもらえて、それを再現する、みたいなことをよくマーケティングでやるんですよ。」
百々
「率直にお聞きしたいんですけど、”企業の価値”とか”アイデンティティ”ってあると思っていて、お客さんの声とか使ってみた感想には多様性があると思うんですね。
その中で、『こういう声は聞かない』と決めてるものとかってありますか?」
西井様
「えーっと、すごく難しいし、会社として『これは聞かなくていい』というのは特に決まってないです。でもこれを見極めるのは、マーケターとしてすごく重要なことだと思ってます。
たとえば、オイシックスや前職のシーラボでもそうですけど、『商品が高い』って言われるんですよ。
でも、『高い』って言う声は、ある程度捨ててもいいブランドもあると思っていて。
スーパーの野菜とオイシックスの野菜を、価格面だけで比較されたりするわけですけど、モノが全然違うんで。そこはもう価値観の話ですよね。
だから、聞けない声を捨てると言うよりは、『オイシックス安いよね』って言ってくれるお客さんの声を拾いに行くと言うか。
僕らと価値観の合うお客さんが100人に1人でもいれば、日本だと100万人くらいいいって言ってくれるわけですよ。それなら十分商売としても成り立つんで、その1人ってどんな人なんだろうって言うのをすごく考えます。」
百々
「僕らも、”どう数を売るか”ということはもちろん大事だと考えていますが、それ以上に、何を伝えるべきで、お客さんにどう価値を見出してもらって買ってもらうべきなのか、というところに注力していますね。」
西井様
「すごいですね。
実は、お世辞とかじゃなくて、いろんなお客さんのところに行った時に、a-worksさんの作ってるLPに出くわすんですよ。
いいLPだなと思って、『これどこが作ってるんですか?』って聞くと、『a-worksさんです』って来ることがけっこうありますよ。ほんとに。
だから、本気なのが全部伝わってるんだろうなって思いました。」
野山
「わかっていただけて嬉しい…!!」
ネガティブな声があっても、その人とは価値観が違うだけ。
そこではなく、いわゆる「コアなファン」のことを考えることにエネルギーを使う方が大事なんですね。
BtoCのマーケティングで大事なこと
西井様
「優秀なコピーライターさんとか、LPを作る方にお会いすると、やっぱり乗り移るのがすごくうまいんですよね。で、それを実際ABテストすると圧勝するわけです。そういうのがやっぱり結果を出せる人だと思うし。
でも意外とブランド作ってる側はそういうところをわかってなかったりするじゃないですか。ブランド側が実は自分たちの価値を見失ってたりする。
さっき、”捨てるべき声”って話がありましたけど、お客さんの声を聞きすぎて捨てるべき声が捨てられず、結果、当たり障りのないブランドになる、みたいなことってよくあるんですよね。」
百々&野山
「うんうん。」
西井様
「本質的に言うと、たとえば化粧品とかって、”この商品使ってる私が好き”みたいな状態になっちゃうのが1番LTV高くなるんですよね。」
野山
「うんうん。
BtoBだと『何に悩んでいますか?』って言った時に『コストだ』とか『効果性が低い』とか、そういう課題があったらそこに対する訴求ができたらそれでいいと思うんですよ。企業は合理的に判断するので。
でも、BtoCはやっぱり感情ですもんね。」
西井様
「そうなんですよね。変な話、“高いほうが嬉しい”人もたくさんいるわけですよ。高いけど世界に3つしかないみたいな化粧品がめちゃくちゃ嬉しい人もきっといる。
一方で、洗顔でどうせ洗い流すもんだし安くていいよ、って人もいるし。
それぞれの価値観の人にどんなふうにコミュニケーションすれば、使う時に新しい価値が生まれるかっていうところですね。」
〜中略〜
西井様
「オイシックスって、ネット上ではネガティブな声も色々ありますけど、たとえばZOZOなんかもそうだと思うんですよ。反発の声もたくさんあるけど、現実に、あの規模の会社で前年比120-130%とか伸びてるわけです。
それは、他のブランドとは違う価値を出せていて、それを支持するお客さんがいるからであって。決して同じにならなくていいんじゃないかな。
「だから、あの百々さんのプレゼンを面白いと思って聞ける人が増えるといいなと思うんですよね。」
野山
「こんな嬉しい話ないね。」
百々
「ありがとうございます。」
BtoCでは、「価格」や「機能性」といった実利的なメリットで買う人ばかりじゃない。
合理的ではない理由でその商品を狂気的に好む人もたくさんいるのだから、自分たちの価値観を強く持つことが大事なんですね。
西井さんが、今後のa-worksに求めるもの
野山
「今後、アフィリエイトっていう文脈だけじゃなくて、ブランドがどうあるべきなのかとか、何を市場に提供して『消費者の暮らしをどう変えていくのか』とか、そういうことを僕らはもっと考えていきたいと考えているんですけど。
今までのa-worksを見てて、もっとどうあってほしいとか、ありますか?」
西井様
「a-worksはアフィリエイトからスタートしてるけど、社会的なアフィリエイトのイメージを良くしていかないと、業界は良くならないかもなと思います。
“アフィリエイト”っていうことばが現代ではややネガティブなイメージで捉えられがちですけど、基本的にはユーザーが作っていく市場だということを考えれば、それは多分、現代にフィットすることだと思うんですよ。
そういったことをずっと考えている御社は、最近”UGC”とか言われているものの1つかなとも思ってます。
a-worksさんがもっと評価されるには……どうしたらいいんだろう。笑」
野山
「評価されたいなぁ!評価されたい!笑」
百々
「”アフィリエイト”っていう先行したイメージを変えたり、概念を変えていく活動をした方がいいかもしれないですよね。」
西井様
「デジタルマーケティングの教育しちゃえばいいんじゃないですか?
百々さんがプレゼンされたような考え方、僕は多分マーケット・イン的思想の側の人間だからこそすごく面白かった。でも、プロダクト・アウト的思想の人には伝わらないと言うか、『他人のコンテンツを使っても、うちのブランドは伝わらない!』って思われたりとか。
だから、両者をちゃんとミックスしていけるような活動、それがちゃんと形としてできてくると、今までやってきたことにもっと価値が出てくるかもしれないですよね。」
野山
「なんか、うちのやることが見えてきたね、ちょっとずつ。
そういうところですよね。」
広告主と広告代理店という「パートナー」としてのあり方
百々
「西井さんにもう一つお伺いしたいんですけど、アフィの文脈を超えて、いわゆる広告主さんと広告代理店という”パートナー”のあり方として、『もっとこうなって欲しい』とかってありますか?
アフィリエイトにかかわらず、今の広告業界において。」
西井様
「最近はすごく時代が変わってきている感じがします。
昔だったら代理店さんは、 運用型の広告とかマルッと渡されて、『そこは自分たちがちゃんと運用してやるよ』ってことで成り立ってた。
昔の広告代理店って、メディアプランニングとその上にある制作(クリエイティブ)っていうのがセットでありましたけど、これからの時代は、AIによってメディアプランニングの部分のウェイトがなくなってくると思います。
だからどっちかって言うと、 ちゃんとしたクリエイティブ作ったりとか、どういう風にお客さんに刺していけばいいかって言う部分を考える方に特化していかないと、生きる道ってないような気がするんですよね。
そういう意味でいうと、実は、本当にそういう部分を考えられる、パートナーとしての機能を持てている代理店さんって少ないと感じてます。」
野山
「そうですよね。」
西井様
「でもそれは実は広告主側にもあんまりないみたいなところがあって、どっちもどっちなんですけど。
唯一広告主が持っているのが、 “商品開発した人”ですよね。だから、僕はよく商品を作った人にヒアリングしに行くんですよ。
そうすると、実は気づかないところにすごくこだわって作られていたことに気づくんですよね。
これをしないでただ企画書もらうだけだと、実はどの商品もほとんど同じになっちゃうから。そういうところをちゃんと聞き出せるようにならなきゃいけない。
で、逆に広告主側は広告主側で、もっとデジタルマーケティングに対しての理解を深めないといけなくて。
そういうふうに、お互いにスキルが変わっていかなきゃいけないし、ミックスしていかなきゃいけないところも出てくるかなと思います。」
広告代理店はメディアプランニングさえできればそれでいい、という時代は終わった。商品のことをよく理解し、「いかに消費者の心に響かせるか」という部分を考えられるようにならなければ。
そして、閉幕……
野山
「今日は本当にたくさんの貴重なお話、また褒めていただきましてありがとうございました。」
西井様
「いえいえ。
でもなんでこんなに褒めたんだろう……」
野山
「いやほんと嬉しいです!
ぜひ百々のプレゼンを、シンクロ社のe-ラーニングでもお好きに使っていただければと思います。」
西井様
「ありがとうございます。ぜひ使わせてください。
僕が自社でeラーニングをやろうと思ったのは、やっぱりそういう課題なんですよね。特に広告主というかクライアントサイドが、やっぱりデジタルマーケティングをちゃんと理解しないと、代理店のことわからないんだなとか。
新しく入ってきた人たちのスキルも伸ばしていかないといけないし、そういうことやらないと絶対に強くならないなって思ってるんで。うん、使わせていただきます。」
野山&百々
「今日は本当にありがとうございました。」
****
このあと、西井様を挟んで写真を取らせていただきまして、
撮影後、西井様にオフィスを軽くご案内し、最後にも「良いオフィスですね」をいただきました。
西井様、a-worksオフィスまでお越しいただき、貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。
以上で、レポートを終わります。
最後までお読みいただいたみなさま、ありがとうございました。